でも、結果的に、娘は何事もなく元気に産まれてきてくれました。
この記事を読んでいる方は、恐らく妊娠中で、同じように単一臍帯動脈と診断された方が多いのではないでしょうか。
初めて単一臍帯動脈という言葉を聞いた日、どれ程不安で、どれ程怖かったか。
もしかしたら、今この記事を読んでいる方も、同じ気持ちかもしれません。
そんな不安な気持ちを経験したからこそ、娘が無事に産まれた今、今まさに悩んでいる方に向けて、このブログで記事を書こうと思いました。
この記事ではこんなことを書いています。
- 娘が単一臍帯動脈と診断された日から無事に産まれるまでの記録
- その間どんな検査を受けたのか
このブログ記事を見て、少しでも安心してもらえたら幸いです。
それではご覧ください。
目次
単一臍帯動脈とは?
あくまで、私が病院で聞いた話ですので、詳細なことはあまり分かりません。
お母さんと赤ちゃんを繋ぐへその緒は、静脈が1本、動脈が2本で成り立っているそうです。
単一臍帯動脈とは、そのへその緒の動脈が、何らかの理由で1本しか存在しない状態のことを言うそうです。
もともと1本しか作られなかったか、始めは2本あったのに途中で1本になってしまったのか
動脈が1本しかない理由としては色々な可能性が考えられるようです。
単一臍帯動脈と診断されるのは100人に1人程。
病院の先生曰く「そこまで珍しいことではない」そうですが、私には、この数字はとても少なく感じてしまいました。
初めて「単一臍帯動脈」と診断された日
妊娠21週と3日
私が、初めて「単一臍帯動脈」と診断された日。
それは、妊娠21週と3日のタイミング、妊婦健診に夫と一緒に行った日でした。
その頃の私は、毎月の妊婦健診をとても楽しみにしていました。
その日も、いつものように、病院の待合室で名前を呼ばれると診察室へ。
我が子の成長にワクワクしながら、お腹を出してベッドに横たわりました。
最初は、「これは頭で」「これは足で」先生のそんな言葉に「はい」とか「へー」とか頷きながら、夢中でエコー画面に見入っていました。
「多分女の子ですね」初めて聞いた娘の性別に嬉しさが湧き上がったのをよく覚えています。
「これがへその緒ですね。」そう言った後、しばらく黙っていた先生から
少しへその緒が細いといった趣旨の話があり、エコーでへその緒の断面を見せられました。
- 通常はへその緒には血管が3本あるけど、今見た限りだと2本
- まだ見えにくいという可能性もあるので、2週間後にもう一度見てみる
こういった説明を受けてその日の診察は終了しました。
混乱
診察後、頭の中が色々なハテナと不安でいっぱいになり、意識がここにいるようでここにいないような、そんな感覚になっていくのを感じました。
エコーが終わり、服を整えていると、隣の診察室で先生が夫に話している声が聞こえてきました。
週間後に見てみても変わらなかったら、大学病院の紹介状を書きますのでね、その場合は検査するとの事。
予想外の展開に気持ちが全く追いつかず、顔が強張っていたのか、看護士さんが優しく声を掛けてくださったことを覚えています。
夫と先生が待っている診察室に入ると先生が改めて、こんなことを話してくれました。
先生の話
- この週数になると、通常はへその緒に動脈2本と静脈1本で3本の血管が見えていないといけない
- でもお子さんの場合は動脈と静脈が1本ずつしか見えていない
- でも、たまたま見えにくい場合もある
- 2週間後にもう一度よく見てみて、やっぱり2本だったら大学病院の方でしっかり検査
- 血管2本でもちゃんと育っている赤ちゃんはたくさんいる
- 特別珍しいことではない
頭の中が不安でぐるぐると渦巻いているのを感じながら診察室を出ると
深刻に心配し過ぎる必要はありませんからね!と先生が診察室のドアから待合室に顔だけ出して、そう声を掛けてくださいました。
自分では少し平常心を取り戻したつもりでいましたが、会計後のお釣りをうっかり忘れそうになり、領収書も置いたまま帰りそうになり
しっかりしないとと思えば思う程、頭の中がぼーっとしていくような感覚でした。
病院から出ると、電車に乗るために5分程歩きましたが、何も言葉が出ず…。
いつもなら「やっぱり女の子だったね!」「名前は何にしようか?」などと夫と会話するところ。
いつも通りそんな話をしたいと思いながらも、口は動かず、ただただ夫の後ろ姿を見つめながら歩き続けていました。
そんな張り詰めていた気持ちの糸は、電車に乗って座席に座り、夫と言葉を交わした瞬間に一気に切れました。
「ここで泣いたら駄目だ」そう思いながらも、止まらない涙と鼻水。
後から後から自分を責める言葉ばかりが頭の中でぐるぐると回り
電車に乗っている間、ずっと涙が止まりませんでした。
気持ちを切り替える
初めて単一臍帯動脈と診断された日、その日は一日中、夜まで涙が止まりませんでした。
切り替えようと思っていても、一人になると、不安な気持ちが後から後から押し寄せ…。
見ない方が良いと思いながらも、ついついネットで色々と検索してしまい、マイナスな言葉を見る度にショックを受けていました。
ですが、そんな渦巻く不安の中から気持ちを切り替えられたのは、その日の夜、改めて夫と話した時でした。
どれだけマイナスなことを考えていても、産まれるまで何も分からないし、何をすることもできません。
初めはショックとパニックでザワザワしていた気持ちを、一日かけて落ち着かせ
無理矢理そう思うことにしました。
そして、そのタイミングで決めたもう一つのこと。
それは、産まれるまで単一臍帯動脈についてネットで検索しないということ。
検索した結果、マイナスな言葉を見ても、ただただ不安になり
精神的に追い込まれるだけなので、もう産まれるまで調べるのはやめようと思いました。
2週間後、改めてエコー検査へ
単一臍帯動脈と診断されてから2週間後、改めて、病院でエコーを受けることになりました。
それまで、妊婦健診に行くのは、楽しみという気持ち以外何も感じたことはありませんでした。
ですが、その日ばかりは、楽しみとはとても思えない気持ちでした。
モヤモヤとした不安な気持ちを抱えて、夫と一緒に病院へ向かって歩きながら、初めて
妊娠って「何か」あるかもしれない心配と、こんなにも隣り合わせだったんだな…。
そんなことを考えていました。
病院に到着後、緊張しながら待合室で待っていると、いつものように名前を呼ばれ、診察室へ。
お腹を出してベッドに横たわり、「大丈夫、大丈夫。」そう自分に言い聞かせながら、静かにエコー画面を見つめていました。
先生がいつもより丁寧に、時間をかけて、エコーの機械を操作してくれましたが
やはり、へその緒の動脈は1本しか見えないとの事。
不安な気持ちはあるものの、前回よりも冷静な気持ちで受け止めることができました。
大学病院に紹介状を書くから、一度検査しに行ってきてください。
そう伝えられた後、先生は再びエコーの機械を動かし、心臓の位置が問題ないことを確認していました。
大学病院で検査
今まで私が通っていた病院は、妊婦健診専門の産婦人科で、出産は扱っていない小さな個人クリニックでした。
その個人クリニックで、家から一番近い大学病院の紹介状をもらい、2週間後、再び夫と共にその大学病院へと向かいました。
さすが、大学病院なだけあって、受付を済ませた後は、かなり長時間待たされました。
待たされている間、むくむくと膨れ続ける不安と緊張感を抑えながら、ただひたすら待っていると、やっと名前が呼ばれました。
恐る恐る診察室へ入ると、少し恐そうな印象の40代程の先生が座っていました。
この病院に来た経緯を改めて伝えると、紹介状に目を通し終わった先生が、ひとまず、エコーを見るとのことで
私はお腹を出して、ベッドに横たわりました。
エコー画面を指差して色々と説明する先生の言葉を聞きながら、私は、じっとエコー画面を見つめていました。
そこで、先生がエコー画面を見ながら確認していたポイントは次の4つでした。
- 心臓の位置&血液の流れ
- 色々な臓器の場所
- 手が内側にそっていないか
- 唇が裂けていないか
もしかしたら、本当はもっと見ていたポイントがあったのかもしれませんが
言葉に出しながら確認していたのは、この4つでした。
心臓の位置&血液の流れ
エコー画面を見ていた先生が、エコー画面の表示を切り替えると、血液が赤と青で表示され、血液の流れが視覚的に見えるようになりました。
「青が静脈で、赤が動脈ですね。」そう説明しながら、まずはへその緒を探すと、血液の流れをじっくりと観察していました。
確かに動脈が1本しかないですね。そう言いながら、またエコーの機械を動かすと、
「心臓の位置は大丈夫」
またゆっくりとエコーの機械を動かして、「右心房、右心室、…。」血液の流れを辿りながら確認。
結果、心臓は大丈夫との事。
色々な臓器の場所
心臓のチェックが終わると、またゆっくりとエコーの機械を動かし、
ここは肺、ここは胃…とひとつひとつ臓器の場所を確認しているようでした。
結果、他の臓器も大丈夫との事。
手が内側にそっていないか
続いて確認していたのは、娘の手の状態。
手が内側に沿っていないか?
「手」とは「手首」なのか「腕」なのか、「手が内側にそっている」というのがどういう状態なのか、いまいちイメージできませんでしたが…。
私は、エコー画面に映る娘の小さな手を見つめながら、祈るような気持ちで先生の言葉を聞いていました。
結果、手のそりも大丈夫との事。
唇が裂けていないか
続いて、娘の唇の状態を見ようとしていたのですが、その時、娘は手で顔を隠していたので確認できず。
また来週見てみましょう。
そう言われました。
先生は「娘の唇が裂けていないか」確認しているようでした。
臓器の場所などは、確認ポイントとして納得できるような気がしますが
唇という外見的なところまで確認するというのは少し意外な感じがしました。
先生の言葉を聞きながら浮かんでくる疑問は色々とありましたが、私にはそれ以上質問する勇気はありませんでした。
その時の私は、細かいことを色々と聞いても不安な気持ちばかり大きくなるような気がしていたので
結果以外はあまり追及しないようにしていました。
恐らく、ちゃんと聞いていれば教えてもらえたと思うのですが…。
結局、唇の状態については、翌週のチェックで「大丈夫」と言われました。
大学病院での診察結果
エコーが終わると、診察室で再び先生と向き合って椅子に座りました。
今の段階では問題ないとの事。
その時、先生が話していた話は、大きく次の2つのことでした。
- 単一臍帯動脈に考えられる2つの可能性
- 妊娠30週目までの経過観察
「単一臍帯動脈」に考えられる2つの可能性
単一臍帯動脈に考えられる可能性は次の2つのようです。
- ただただ、へその緒の動脈が1本足りなかっただけで、他は特に問題ないという可能性
- 何かしらの症候群があり、その1つが単一臍帯動脈という形で現れているという可能性
ここで先生から説明して頂いた内容をまとめるこんな感じです。
先生の話
- 2の場合、単一臍帯動脈以外にも、何かしらの問題が現れてくる可能性が高いが現状は特に問題なし
- これから現れる可能性もあるが、産まれてからという事ももしかしたらあるかもしれない
- 1の場合、産まれてしまえば、もうへその緒は切ってしまうので関係なし
- 特に問題が無ければ、単一臍帯動脈はそれ自体が悪いことではない
- 今は特に問題は見つからないので、これから経過を見ていきましょう
妊娠30週目までの経過観察
当初の予定では、大学病院で一度検査をした後は、また元通っていた個人クリニックに戻る予定でした。
このまま、この病院で経過を見ていきましょう。○○クリニックには、私の方からそう伝えておきます。
ということで、急遽決まった大学病院への転院。
妊娠30週目まで、この病院で経過を見て、問題ないようであれば、出産予定の病院で出産して大丈夫との事。
何かしら問題が見つかったり、娘の成長状態が小さかったりした場合は
設備の整っている大学病院で産むことになる、そう伝えられました。
妊娠30週目までの日々
気持ちと体の変化
思い返すと、私が、娘の単一臍帯動脈を強く意識したのは、初めて大学病院で検査を受けた日が最後だったかもしれません。
もちろん、忘れた訳ではなく、ふと考えて不安になることもありましたが
そんな風に考えるようにして過ごしていました。
検査を受けた日以来、妊婦健診でも特別何か言われるようなこともなく
エコーの後、問題無いことを伝えられて終了。
そんな日が続いているうちに、私も、段々と娘の単一臍帯動脈を意識する気持ちが薄れていきました。
私のお腹も少しずつ少しずつ大きくなり、あっという間にどこからどう見ても「妊婦さん」の体型に。
段々と激しくなる胎動に喜びを感じながら、毎晩夫と一緒にお腹の中の娘に話しかけたり、歌ったりするのが日課になっていました。
リラックスの旅
妊娠30週目直前のタイミングでは、夫と2人で最後の夫婦旅行にも行きました。
単一臍帯動脈のことを知っている私の家族は、旅行に行くことを心配していましたが
病院からは、単一臍帯動脈だからと言って、特別気を付けないといけないようなことはありません。
そう言われていたので、少しドキドキしながらも、旅行に行くことにしました。
ちなみに、この時行ったのは、長野県の美ヶ原高原。
景色は美しく、料理も美味しく、妊婦旅にぴったりで、最高の思い出になりました。
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運命の妊娠30週目
そして、ついに迎えた妊娠30週目の妊婦健診。
この日は、さすがに少し緊張していましたが、いつもより念入りに、心臓の血液の流れ、臓器の位置などをエコーで確認。
問題ないですね。出産予定の病院で、元気な赤ちゃんを産んでください。と先生。
安心しました。本当に、心から。
私の心持ちのせいでしょうか、いつもはあまり表情を変えなかった先生、この日は少し微笑んでいたように見えました。
予定日4日前、元気に産まれた娘
妊娠30週目の妊婦健診を終えた後、私は実家に里帰りをし、実家近くの産院に通うことになりました。
この産院でも、初診の際に少し話しただけで、特段、単一臍帯動脈について何か言われるようなことはありませんでした。
私も、出産予定日が近づくにつれて、段々と出産に対する不安の方が大きくなり…。
単一臍帯動脈に対する意識は、さらに薄くなっていきました。
そして、ついに、出産予定日4日前に無事に産まれた娘。
体重は3215グラムもあり、異常などは何も見つかりませんでした。
最後に
娘が単一臍帯動脈と初めて診断された日、どれだけ不安な気持ちで「単一臍帯動脈」というワードを調べていたか。
マイナスな文字を見つけてはショックを受け、読みたいような読みたくないような、不安に押しつぶされそうな気持ちでした。
ですが、どんなにショックな検索結果を見たとしても、確実なことは産まれるまで誰にも分かりません。
大学病院に初めて検査に行った日、私は、本当はもっとすごい検査が待っていると思っていたんです。
ですが、そこで待っていたのはエコーでの確認だけでした。
私はそこで思いました。
そう思うようにしてから、私はとても前向きな気持ちになれたように思います。
今、単一臍帯動脈と診断されて、この記事を読んでいる方は、今とても不安な気持ちだと思います。
調べて調べて、この記事にたどり着いたのかもしれません。
こんな記事を書いておきながら言えることではないかもしれませんが、ネガティブなネット情報に惑わされないでほしいと思います。
不安な情報を読んでも、ただただ不安な気持ちになるだけで、そこに解決策はありません。
お母さんの気持ちは、きっと赤ちゃんにも伝わります。
前向きな気持ちが赤ちゃんに伝われば、きっとそれが良い効果に繋がるはずです。
私は、そう信じています。
ここまで読んで頂きありがとうございます。それでは、よい出産を。